コティリエ在宅医療・訪問歯科ニュース
深刻化する人手不足

看護師不足は、慢性的に続き離職率も横ばいで2014年は10.8%(前年比0.20%減)となっています。
新人看護師の離職率は7%となっており、診療報酬改定で看護師の規定も変わって来ています。
2016年度診療報酬改定では、看護師の必要度の見直しも行われています。
在宅医療については、「地域ケアシステムの構築」課題におき、チーム医療の推進がなされています。改善が見られる部分もありますが、人手不足は慢性的に続いています。
平成28年度の看護師国家試験の合格者は55,585人で多くの看護師が誕生していることが解ります。ですが新しく看護師が増えても、離職率と慢性的な人手不足が続いており、総体的に離職していく人が多いことがわかります。
また、介護職の離職率も深刻です。
介護職は介護福祉士、訪問介護ヘルパーなどが担っていますが、介護福祉士の平成24年登録者数は1,085,994人ですが、従事者数は634,175人で離職率は58.4%で看護職よりはるかに多いことが解ります。
看護師の離職率10.8%のおよそ6倍近い数値を表しています。
そのために、在宅医療チームにも人手不足の波が押し寄せてきます。チームとして成り立たせるだけのメンバーの確保が難しいこともあります。
訪問看護は、やりがいのあるところもありますが、仕事のむずかしさも多く含んでいるため、就職を考える時躊躇することも多い職業です。
訪問看護のやりがいといえるのは、一人の患者様に集中できること、退院後の患者様の容体がよくなっていくことが感じられたり、家族支援などの多くのサポートを得ることができ、病院、地域と一体となって支援していけます。
またそこで多く人が関わることで、出会いもたくさんあります。
一方難しい点といえば、患者様の小さな変化にも気を使って、今後を予測し判断する判断力、決断力が問われます。
地域に根ざしているので、訪問する順番や時間配分を考えなければいけません。また曜日、時間に関係なく突然出勤しなければいけないこともあります。
プライベートを束縛するようで、即座に対応できない場合もあります。しかし、患者様の病状は待ってくれません。どうしても行かないといけない場合は、別の看護師に頼む必要もあります。
その際訪問看護ステーションの中でのネットワークで情報を共有し、いつでも対処出来るようにしなければいけません。看護師のチームのメンバーが良く変わるようでは、当然チームとしても上手く運営しないでしょう。
お互い看護師がフォローしあって、ストレスや負担を少なくし、精神的に疲れて離職していかないような体制を作ることも大切です。
訪問看護は一人で、一日中ケアして回ります。訪問した看護師だけが状況を知っているのでは、なにか患者様にあったとき、その看護師が対応するしか無いでしょう。
そのためにミーティングをして、訪問した日や詳細を記録しておき、毎日欠かさず続ける必要があります。
ミーティングにおいても、頭ごなしに発言した人を批判するではなくて、余裕を持って批判をせず話を聞くことも大切です。
とくに新人は遠慮しがちですが、新人の方が発言し受け入れられることで、ミーティング以外でも日常の気になったことや相談事など、みんなで話しやすい雰囲気が出来上がります。
病棟で多くの経験を積んだ人も、その職場が初めてなら気分は新人です。
ミーティングを通しての意見交換から、新人がベテランから知識を吸収することもできます。
訪問看護は一人なので、一緒に同行することが少ないので、ミーティングの場は情報交換、また教育をする最良の場と言えるでしょう。
訪問看護のチームワークが整っていると、在宅医療チームにも良い影響を与えます。
介護職に従事する人は、看護職以上に離職率が深刻です。
介護職も一人で患者さんの所に訪問します。医療的に心配なことにも遭遇します。しかしその場で医療的判断は禁物です。在宅医療チームと相談し、アドバイスが貰える看護師がいると、後の介護の方針が組みやすくなります。
チームとしてつながりができると、その人の重要性が高まり、責任が生まれるでしょう。
やりがいも生まれるかもしれません。そういったことが離職をとどまる一因になるでしょう。
チームで支え合うのはなにも患者様だけでなく、在宅医療チームのそれぞれ立場に立ったメンバー同士でもあります。