コティリエ在宅医療・訪問歯科ニュース
認知症を支える家族と医療チーム

誰だっていつまでも健康で長生きをしたいと願うことでしょう。
介護を必要とせず自立した、介助の要らない生活を送れる期間のことを健康寿命といいます。
また年をとって認知症を発病したり、介護が必要となる期間や年数のことを介護年数といいます。
2014年における男女の平均寿命は、80歳を超え男性80.50歳、女性86.83歳となっています。
医療技術や食事など多くの要因が、人の寿命を伸ばしています。
先出した健康寿命をのばすために、いろいろな取り組みがされています。
この取り組みにより、日本の高齢者の数が変わってくるでしょう。
高齢にともなって現れるのが、認知症、いわゆるアルツハイマーと呼ばれる症状です。
現時点では、2025年には470万人が認知症自立度Ⅱ(日常生活支援度Ⅱ)以上になると言われています。
認知症は日常の中で静かに、少しづつ進行していきます。
そのため、自分の症状が認知症ではないかと気にかける人は少ないです。
ちょっとした変化に気が付かないことが多いのです。
高齢者のなかには在宅医療を利用している方もいます。
訪問看護を通して、認知症が疑われる出来事が起こった場合、受診を勧めてくれます。
しかしなかなか現実を受け入れられないこともあります。
患者様も認知症であることを認めるのは辛いことですが、在宅医療は受診をするための一歩を優しく勇気づけてくれたり、一緒に考え悩み、精神的な支えとなります。
認知症は脳に関する病気ですので、精神科、神経内科老年科などの選択肢が考えられます。
しかし精神科についてはまだまだ一般的な認識が行き渡っていなく、受診するにしても敷居の高いと思われる人もいるようです。
精神科の一部に物忘れ外来という、老年精神医学を専門としている精神科医があります。
認知症のエキスパートです。
これら専門的な知識を有する医師がいると、有効な対策が迅速にとることもできます。
有効な治療を早く受けるべく、認知症の専門医がかかりつけ医と連携し、治療を進めていくことも重要です。
Aさんは、認知症と診断され徘徊を繰り返しましました。
そのたびに娘さんはAさんを探しに行きました。
ある日、Aさんは道でつまずき転倒して骨折してしまいました。
それ以来、Aさんは徘徊ができなくなりました。
その後も認知症が改善せずに、義理の息子を夫と勘違して話しかけて、娘さんには家事の指図をします。
まれに、やってくる息子にはしっかりと話ができるのです。
帰りにはおこずかいまで息子に渡すので、娘さんは息子(弟)は母の認知症に理解がないと嘆いていました。
でも、あの徘徊して探し回ったあの日を思うと今が良いと話されました。
高齢者の虐待問題は後を絶ちません。
介護のためにやむなく仕事をやめなければならない人もいます。
高齢者虐待の多くは、認知症を患っているケースがあります。
身内による介護疲れ、ストレス、経済的な困窮など、虐待の問題の根底はそれらの要因が重なっています。
そういった背景を誰にもわかってもらえない、誰にも助けてもらえない、このような現実が介護をする家族の健康ならず、精神的にも追い詰めてしまいます。
Aさんのケースでも、娘さん一人の介護が続けば、理解者のいない孤立した介護は、いずれ糸がプツッと切れるように、精神的に破綻していたかもしれません。
しかし娘さんには在宅医療チームが精神的支えになっていました。