コティリエ在宅医療・訪問歯科ニュース
情報の共有で適切な支援を

在宅医療チームには、色々なメンバーいます。
かかりつけ医、訪問看護師、訪問薬剤師、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ケアマネジャー、訪問介護ヘルパー、ディケア職員など様々な人が患者さん、その家族を支えています。
かかりつけ医は一人ですが、看護師やヘルパーは主担当を決め支援していきますが、他の看護師、ヘルパーも訪問し支援をします。
在宅医療チームの中にそのステーションの中でまたチームがあるのです。
患者様の病状によって専門が異なってきます。
また専門職一人一人でも別の視点があったり、考えを持っていたりもします。そのような中でチームとして、患者様に対して支援をして向き合っていけるか会議や情報交換をしながら決めていきます。
このような例がありました。
ある日AさんがB看護師に息子に電話をしてほしい、どうしても話したい、看護師さんがしてくれたら話せると訴えがありましたが、時間は午後2時で忙しい時間帯、難しい希望でした。
また別の日、Aさんからティッシュペーパーがないので買ってきて欲しいと言われました。
看護師は要望があるたびに考えました。
ティッシュペーパーがないのなら、トイレットペーパーで代用できないかなどと。
ですが次の訪問先に行かなければいけない時間が迫ってきていたので、もういかないといけませんでした。
しかしAさんは他の看護師さんはやってくれたのに、あなたはやってくれないのかと怒り出しました。
B看護師は今のところ危機的な状況ではないと判断して、Aさんの希望を断りAさん宅を後にしました。
後日Aさんは別の看護師やヘルパーの人に困っているのにB看護師に助けてもらえなかったと告げました。
そしてB看護師は上司に呼ばれて話し合いの場を持ち、結果としてしばらくAさんの訪問を控えるように言われました。
B看護師は上司に何が起きたのかを聞いたら、Aさんのいうとおり他の看護師やヘルパーはやってくれていたというのでした。
電話の件にしても、息子さんとしては何度も電話がかかってきてくるので、困っているとのことでした。
在宅医療では決められたことを淡々とこなしていけばいいわけではないのです。
医療行為ではないからできないという、明確な線引では収まらないことがあります。
反面すべての要望に答えてあげるわけにもいきません。
ニーズ (患者における客観的必要性) とデマンド (患者の主観的要求・要望) は違います。
ニーズは今回だけなのか、それとも今後も必要になるのか評価しなければいけません。
専門性がいる状況なら、どのような専門性なのかも判断するべきです。
さらに今回だけであるならば、一回限りであることを患者様が認識しているかということも重要です。
なぜ要望を聞いたのか、その根拠があるならば理由を説明することも必要です。
今回の場合、なせティッシュペーパーがあるのに、ティッシュペーパーを要求したのか、その根底にある理由を理解しなければいけません。
B看護師はAさん宅を離れる際、しっかりとした理由を説明できませんでした。
またその報告をチームにしておらず、共有することもできませんでした。
他の看護師もAさんの要求に答えていたこと、これについても全体の共有が出来ていませんでした。
お互いの情報の新式不足が招いてしまったことかもしれません。
より良い在宅医療の支援のためには報告、相談、情報交換し共有をしつつ、今後どう対応していくのかなどチーム全体のコミュニケーションが欠かせません。
共有することにより、別の支援の仕方が見つかるかもしれません。
なによりAさんについてより理解が深まるでしょう。
チームとして忙しい中、限られた時間ですが円滑なコミュニケーションのために、こういったことに時間をかけることも場合によっては必要になってくるでしょう。