コティリエ在宅医療・訪問歯科ニュース
単身者の心と心をつなぐ在宅医療

在宅医療チームは、かかりつけ医、訪問看護、訪問介護ヘルパー、ディサービスそして、ケアマネージャーで、訪問介護ヘルパーは複数人で支援していることもあり、連絡ノートが置かれています。
そのノートはチームでも記入し、またご家族の方からも記入があったりもします。
ある日、訪問するとAさんの家の連絡ノートに息子さんからの記入がありました。
息子さんは多忙で忙しいためなかなか会えない方でした。
ときどきは連絡もしますが、何分スムーズとはいえません。とにかく上手く行っていれば何でも大丈夫です。と話す家族も少なくありません。
Aさんは単独世帯と呼ばれているケースです。
単独所帯は、2014年の「日本の世帯数の将来設計」では、最も多いのは家族1人の単独所帯で団塊の世代が高齢者になる2025年に向かい上昇すると考えられています。
Aさんのような家庭は決して少なくない状況にあります。
Aさんが一人で暮らしていると、不審な訪問販売に会い、危うくしなくてもいい契約を交わしそうになりました。
この時,Aさんには認知症が懸念されていました。
そんな中、息子さんの海外赴任が決まりました。
日々の買い物のお金はどうしたらいいのか、ディサービスの回数を増やしたり新たなサービスの導入をするときはどうしたらいいのかなど、在宅医療支援チームは心配しました。
認知症が考えられるAさんをどうのように支えることが良いのかカンファレンスが開かれました。
ここには、普段忙しい息子さんも一緒に参加して検討がされました。
カンファレンスには、家族が参加も良くあります。
家族の意見が聞けることで、また在宅医療チームの意見を家族に聞いてもらえることで、患者さんにとってより良い支援が見出すことができます。
Aさんは、子供は一人しかいないこともあり、今後のことも考え成年後見人制度の利用が検討されました。
成年後見制度は精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。
弁護士、司法書士、社会福祉士などがその仕事を担います。
成年後見人は、大きく分けて財産管理と身上監護の2つが主な仕事です。
身上監護には日常の生活品の買い物等に関する行為については、本人が自由に行なえます。
重大な契約行為、また財産管理、収支の管理、税金の管理は成年被後見人が支援することができます。
認知症であるので、正常な判断ができない場合があり、詐欺などの不利益な契約をしてしまうかもしれないからです。
テレビなどでも言われているように、これから日本は高齢化社会へと変化していくでしょう。
それに伴い大介護時代が訪れるとも言われています。
平成24年では、成年後見制度を約16万6000人が利用しています。
ここ数年は毎年1万人以上のペースで増加してきています。
65歳以上の利用者が、男性では男性全体の6割以上、女性では女性全体の8割以上を占めています。
成年後見制度は利用する人の同意も必要です。
認知症が深刻化し、正常な判断が本人ではできなくなってからでは遅いのです。
Aさんはこの制度について、理解し認識することができたわけです。
ますます単身世帯が増加する中,Aさんのような事例は今後も増えていくことでしょう。
在宅医療として支援が出来ることも、変化していくでしょう。
社会状況に応じてチームとして支援していく体制が、地域社会で安心、安全に暮らしていくために必要です。
Aさんの在宅医療チームに新たな支援者がふえました。
Aさんにとっては心強い味方です。
患者様一人ひとりにあった支援を導入することが、在宅医療を利用することの最大のメリットになるでしょう。